資料13：3－3　

平成25年11月16日

日本産業衛生学会関東地方会
理事・監事・幹事各位

日本産業衛生学会関東地方会事務局

関東地方会理事候補者選挙制度改革案について

本年9月7日に東邦大学で行われました平成25年度第2回幹事会におきまして、理事の選挙制度(電子投票の導入および10名定員制)に関する問題提起を受け、柳澤裕之地方会長より、以下のような選挙方法に関する改革案が柳澤地方会長より提示されました。

投票に際して
＜現行＞		＜改革案＞
10名連記制	→	12名連記制

【12名連記制の根拠】

①日本産業衛生学会の法人変更に伴い、選挙結果の報告義務が強化され、理事候補者10名に加えて、次点者、次々点者を含めた12名を報告しなければならなくなった(従来、関東地方会では次点者、次々点者を報告してきたが、今回の法人変更に伴って選挙制度細則に明文化された)。

②現在関東地方会会員は約3300名を数えるが、12名連記制にすることにより、理事候補者として推薦可能な人数の割合が、330人に1人から275人に1人へと高くなり、理事への門戸が広がる。

事務局では幹事会での議論に基づき、この改革案を関東地方会のホームページに掲示し、幅広く意見を募集致しました。

①記名数を増やすべき(12名連記制に賛成)

「日本産業衛生学会は多職種の会員から構成されている。それは本学会の特徴であり、会の存在意義にも関係してくる重要な点。そういう中で相互連携を図っていくためにも、少人数の職種や立場からの意見がもっと取り入れられるべきであり、多数派が少数派を駆逐してしまうような制度はよくない。自己中心的に有利不利を考えて投票するのではなく、会員一人一人がそのようなバランスを考慮して投票できる仕組みが必要。そのためには連記制であるべきで、記名できる数が増えれば、結果的に理事の出身や背景にも多様性が出るのではないか。記名数を減らしても談合は起こりうるし、減らせば上述したような問題が生じる。要は代議員が選挙運動に縛られず自らの意志で投票できるシステムの下で選挙が行われているかという点だが、現行のシステムは完全無記名性が担保されているので問題ない」

「本年2月の幹事会において述べられた意見は、大筋は得票の分布が偏っているということだったように思う。それには会員の構成やそれぞれの職種の立場を推薦する合理的な要素が大きいことが起因して不可避なのではという印象もあるが、公表される場合に一般の方には何か腑に落ちないという感覚を与えかねないのではないかと私も感じた。10名から12名へと推薦できる候補者が増加し、理事への門戸が広がるのはよいことと思うが、12番目と13番目以下の方の得票が同様のことになるのを若干危惧している」

「地方会の選挙制度は、その時の地方会長の考え・責任で行うのが原則であり、方法は地方会長の方針で決めるのが原則」

②記名数を削減するべき(単記名制、もしくは～5名までの制限連記制)

「平成24年の理事候補者選挙の結果は極端に当落が分かれた。当選最低票数171票、落選最高票数21票、当落の票数差150票、惜敗率12.3％、当選最低得票率72.8％、落選最高得票率8.9％、当落の得票率差63.8ポイント。これらの数値は過去の選挙結果と大きく異なる。日本産業衛生学会関東地方会選挙細則を改正して代議員5名、理事候補者3名というように人数を少なくすべきで、定員10名に対して12名投票というのは異常」

「得票数の大きな乖離の原因は、いわゆる「談合」にある。前回の選挙では、○○大学の誰々、○○大学の誰々と10名に投票してくれ、というメールやメモが回っていた。当選した10名の理事の名前が書かれていたことを確認している。小生の考える改革案としては、10名連記の所を、例えば1名～5名程度の連記にすれば上記のような影響は弱まるし、理事のダイバーシティも確保できるのではないか(1名記載という地方会もあると聞いている)。将来的には公衆衛生学会のように職能別や地域別のような選出方法も良いのかもしれない」

「多数の連記投票は不自然。このやり方では、グループ(派閥)がいくつか協定してお互いに投票し合えば、理事を独占することが可能(代議員が281人なので、数グループの合計140人くらい、あるいはそれらの代表が、協定を結べば良い)」

「代議員は、会員の意思を代表しているから、その意見の多様性が実際に表わされるような投票制度(単記制)とすべき。職種・専門分野間のバランスを考慮するのであれば、通常の理事と別枠に、職種・専門分野別に理事定数を於いてはどうか」

「複数連記であることによる弊害が数年前の学会総会で指摘され、単記にするべきであるとの意見があったが、それは地方会の決めることであるとして、差し戻された経緯があるので、単記か連記かの議論をまずするべき」

「10名という多数の連記投票は、1名ないし若干名の氏名のみ記載した者との間で、1票の格差が格段に大きい点で問題がある。このような投票形式はむしろ例外的であり、国政選挙でも地方選挙でも採用されていない。対案として、単記投票または2名連記(1票の格差が2倍を超えない限度)を提案する。これによって、1票の格差は大きく縮小し、投票意欲も高まる」

③現行(定員数分の完全連記制)のままにすべき

「たしかに前回の選挙では当選最下位と次点者との差があり過ぎたが、同じ選挙制度の下で行われたH22年度、H20年度、H18年度は僅差で、1票差(H18年度)や6票差(H20年度)で決したこともあったし、H22年度には38票差の次点が当選者の転勤で候補者から降りて繰り上がる、等のドラマが生まれた過去があり、関東の理事選挙は全国的にみても極めてスリリングな選挙戦だった。それを前回の選挙結果だけで投票方法に問題があると判断し選挙制度を変更するというのは早計で、もう一回様子を見てみてもいいのではないか。むしろ次点者は、最低でも有権者数の１割は得ていないと無効、等という最低得票数の設定を行うべきではないか。それをクリアした者がいなければ、次点者不在で、欠員が出たときは定款に則って補欠選挙を行うことにすれば良い。もし記名数を削減する場合は、高名な先生が例えば6名当選して、あとは数票ずつとなった場合どうするのか、ということも考えておかねばならない(必要な最低得票数を獲得する者が10名に達するまで選挙を繰り返すのか？)。定数分を記名して、次点者は最低得票数をクリアした者とするのが一番合理的」

「削減する場合、部会の意見が反映されにくくなってしまうおそれがある」

「定員より削減する場合(増加させる場合も)、何名にするかの根拠が判りづらい(例えば部会毎に定員を決める場合、１票の格差が生じるし、1名ずつということで部会長が理事になるのであれば、部会長＝理事ということで、選挙の意味がなくなる)」

「「単記制」や「2～5名の連記制」にした場合でも、懸念事項が解決することは期待できないのではないか。「現行案」(ただし次点候補の中央選管への報告は行う)で、より多くの会員が投票に参加するように広く呼びかけることがよい」

「日本衛生学会をはじめ、多くの法人化された学会で定員に相当する数の連記による無記名投票が行われている」

「産衛の北海道、東北、北陸・甲信越、東海、近畿、四国、九州各地方会では定員数分の完全連記制で選挙を行っている(中国地方会では定員2のところ、1名を単記、1名を地方会長)」

④記名の削減・増加について、正解はないが議論を尽くすべき

「記名の削減、増加ともに有利不利が発生するので、正解というか公平な制度というのは難しい。議論を尽くした段階で評議員会で決議をとることで決着するしかない」

⑤一般会員からの意見を求めたことに対する批判

「(1)一般会員の意見が「代案」として成り立つには、どのような手続きが必要なのか？(2)同じ意見が、何人集まれば、「代案」として検討する対象とするのか？(3)たった一人の意見でも「良い案である」と認めるのは、誰が決めるのか？」

⑥選挙管理のあり方に問題があるのではないか

「現在の電子投票システムは、権限がIT担当理事に集中してブラックボックスであり、選挙管理委員会は開票作業ができない。これは地方会ではなく学会の問題だが、関東地方会の選挙でこのような欠陥システムを使用するべきではない」

「現行の投票システムは完全無記名制で1人1回しか投票できない仕組みなので、選挙運動など気にせず自分の意中の候補に投票できるシステムが担保されている」

「選挙管理委員会が管理組織として機能していなかったのではないか。選挙管理委員会に今よりも強い権限を与え、内部告発を受け付け、選挙違反を取り締まれるようにするべき。そのためには選挙違反にあたる活動を明文化するとともに、選挙管理委員会自体も中立的に組織される必要がある」

「公職選挙法の改正で、先の衆議院選挙からインターネット選挙運動が解禁され、インターネットを通じて特定の候補者への投票を呼び掛けることができるようになっている。ただし、ウェブサイトやFacebook、LINE等のSNSメッセージは良いが、電子メールはなりすまし行為に対する発見・対応が困難であることや、ウイルスメールなどの悪質なメールで有権者に負担がかかる恐れがある、等の理由から禁じられている。地方会における選挙においても、選挙運動の成否を決めるべきではないか」

⑦候補者について

「まず地方会長は地方会を統括し、地方会の意見を本部に代弁できる立場でなくてはならないので、地方会選出理事であるべき。また、各部会の活動は地方会活動において特に重要な位置を占めているのだから、活動内容に対し責任を負うべき立場の部会長もまた、地方会選出理事としての発言権を持つべき。そのうえで、残りの定数(5人)について選挙を行うようにしてはどうか」

「理事候補は立候補制にしてはどうか」(注：本部定款26条に、理事候補は代議員から選び、代議員は理事候補推薦選挙に立候補することができる、とある)

「推薦人会議のような組織か、あるいは理事会が総合的に評価して次の理事候補を予め定数の2倍ほど推薦してから、投票を行う仕組みにしてはどうか」

事務局としては、これらの意見を勘案したうえで、まず選挙権を有する代議員の総意を聞くことが必要ではないかと考えました。また時間的制約のある中で、このような多様な意見に対する議論を丁寧かつ公正にすすめるためには、幹事会の短い時間では足りないと判断し、「選挙制度検討小委員会」を設立するべきだと考えました。

選挙制度検討小委員会は、頻回に議論を重ねる必要があること、理事選までの時間が少ないこと、地方会事務局の財政的な問題等を考慮すれば、多人数で構成されるべきではないと思われます。関東地方会の活動は各部会の活発な活動に依る部分が大きく、各部会の意見が十分に反映されるべきであるとの観点より、「選挙制度検討小委員会」は各部会より1名ずつ、部会非所属の幹事より1～2名、関東地方会選出理事より1～2名、本議案の発案を促され、かつ選挙管理委員長でもある原谷隆史幹事、それと事務局より1名、計8～10名程度で運営されるのが、公正で合理的かつ現実的であると考えます。